食道の腺癌ではDOCK2が変異している。

PMID: 23525077

Nat Genet. 2013 Apr 26;45(5):478-86. doi: 10.1038/ng.2591. Epub 2013 Mar 24.

Exome and whole-genome sequencing of esophageal adenocarcinoma identifies recurrent driver events and mutational complexity.

Dana-Farber、MIT、Harvardの東海岸から。

食道を構成するのは重層扁平上皮なので、腺癌は出来ない。

という、病理総論でありがちな〇×問題。答えは×。
化生(ある系統の分化した細胞が、別の系統の細胞になること)により、バレット上皮と名のついた腺上皮になる。これが癌化すれば組織型は腺癌。

癌で見られる変異は、癌そのものを起こすDriverMutataionなのか、それとも変異が誘導されたことで査読機構などが機能しなくなり、受け身的に変異を受けたものなのか?という見極めが必要となる。前者は治療に使えるが、後者はマーカー止まりである。

この論文は、食道腺癌の変異を調べてみて、26個の遺伝子を拾い上げてきた、というもので、その中にはDOCK2とELMO1が含まれていた。ELMO1の変異では浸潤能が高まるデータがあるものの、DOCK2は、血球系でしか発現していないはずなので、この変異がどういう影響があるのか…?不明。こういう論文になってしまうと、どこまでが信用できるデータなのか?全然わからないので、書いていることを信じるのみである。ストレスがたまる。